月下美人

詩や小説を書いています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

第5話 「人か妖かしか 敵か味方か」

執拗に激しく攻撃を仕掛ける女。それをギリギリでかわし続ける辰箕だが額には汗がにじむ。疲れが見え始めたその時、女の右腕(青蛇)が辰箕の肩をかすめる。辰箕の肩に血がにじむ。

女 「そう。その姿のまま死にたいというのなら、望み通りにしてあげるわよ!」

腕の大蛇が辰箕の首に巻きつき締め付ける。

卯月 「松山さんだったかしら?ここは危険よ、逃げましょ。」座り込む女生徒に声をかける。

松山 「く、黒澤くんは…?」

卯月 「彼なら大丈夫。…そうでしょ?」というと松山の背後から、

「ああ。」と声がし、走り抜ける人影。

みるみる顔色が悪くなり、吐血する辰箕。

女 「効いてきたようね。私たち巳族との戦いで皮膚を斬られるということは、どれだけ小さくても死を意味する。でも、彼…シモンの苦しみはこんなものじゃない。彼と同じように、腹に風穴を開けてやるわ。」

身動きが取れない辰箕に、大きく口を開き襲いかかる女の左腕(赤蛇)。あと一歩で辰箕に届くという時、女は腹に激しい蹴りをくらい吹き飛ぶ。吹き飛んだことで巻き付いていた大蛇がはずれ、地面にひざまずく辰箕。

蛇族の女 「な、何者…!?」地面に這いつくばり顔をあげる。そこには飛寅が立っていた。

飛寅 「悪いが、こいつを殺させるわけにはいかねぇな…こいつは俺の獲物だ。」

辰箕 「…飛…寅…。」

飛寅 「バカか、てめぇは。なに油断してんだ。犯人じゃねぇって証明すんだろ!ブッ殺されたら終いだろうが。ほらっ、卯月からの預かりもんだ…」

そう言って透明な液体の入った瓶を辰箕に投げる。

飛寅 「さっさとそれ飲んで加勢しやがれ。この体じゃ解放状態の奴は倒せねぇ…。」

辰箕は薬を飲み干す。

辰箕 「…すまない。」と立ち上がる。

巳族の女 「…そう。解毒薬を持っていたのね。」ふらふらと体をおこす。

巳族の女 「でも、何故なの!?飛寅、あなたにとってもそいつは敵のはずでしょ!?そいつをかばうなんて仲間になったわけ!?あなたの部下が何人も無惨に殺されたって聞いたわ!!それなのにどうして!!」

飛寅 「別に仲間になったわけじゃねーよ。ただ、約束しちまったからな…。」

巳族の女 「約束…?」

飛寅 「ひと月待つってな。こいつは自分が犯人じゃねぇって言ってやがる。真犯人を探すためにひと月くれってな。」

巳族の女 「そんなの信じるわけ!?逃げるための時間稼ぎにきまってるわ!」

飛寅 「…かもな。俺だってそう思ったし、今でも思ってる。だからこそ、こうして監視してんだ。」

巳族の女 「監視なんかするくらいなら、今すぐ殺してしまえば早いじゃない!!」

飛寅 「まぁな…。だが、ひと月の間にこいつに手を出せば、卯月に…いや、卯月だけじゃねぇ。戌維も敵にまわすことになる…。」

巳族の女 「そんな…なんで?卯も戌もみんな被害者じゃない。なのにどうして…。」

辰箕 「猫族の生き残りがいる…。奴らは俺に罪をきせるため、様々な種族のものを殺したり、盗んだりしている。」

巳族の女 「そんなの信じられるわけ…」

辰箕 「だろうな。…だが、飛寅の言うとおりだ。ここで殺されるわけにはいかない。ここからは本気でいく。」

飛寅 「…やっと、本来のてめぇになったじゃねぇか…」

辰箕 「目が覚めた。奴らを見つけ出すまで死ぬわけにはいかない…俺の前に再び現れたこと、後悔させてやる…。」

辰箕の表情がかわる…

巳族の女 「いくら本気を出そうが、その姿のままならまだ私に勝率があるわ!」

辰箕 「…確かにな。だが、本当にそのままでいいのか?死ぬぞ、そこらの人間が。」

振り返る巳族の女。周りの倒れた生徒たちが口から泡を出している。

辰箕 「そうなれば、彼らが来る…『白い死神』。」

そう言って、辰箕は右手に妖気をため、漆黒の球体をつくりだし女に向けて走り出す。その言葉に女の表情は青ざめる。飛寅も辰箕に続き両手に黄色い妖気をためかけだす。飛寅の両手の妖気は(ジジジッ…)と唸り電気を纏っている。倒れる生徒たちをみて妖力を抑える巳族の女。だが、目の前に迫る辰箕と飛寅。かわしきれないと思い防御態勢にはいり目を閉じる。女にあたる寸前で軌道をかえる辰箕とギリギリで踏みとどまる飛寅。

巳族の女 「…な、なんで。」

辰箕 「…殺す意味がない。ひと月でいい…待ってくれないか?」

巳族の女 「…わかったわ。ひと月ね。」そう言って大人しく立ち去った。

卯月 「…上手く収めたみたいね。」腕を組み歩み寄ってくる。

卯月 「辰箕、見つけたかも知れないわよ。…猫族の生き残りとやらを。」

険しい表情で振り返る二人。

卯月 「松山燐(まつやま りん)。あなたの隣の席の臆病な女生徒よ。」

辰箕 「…なぜ、わかった。」

卯月 「巳琴の解放状態の妖気に気絶することなく、意識を保っていたわ。そんな事が出来る人間がいるとは思えない。」

飛寅 「…確かにな。そいつ以外の奴はみんなこのザマだ。」と倒れる生徒たちをみる。

卯月 「体育館裏で待たせてるわ。行くでしょ!?」

辰箕 「…ああ。」


体育館裏。薄暗く人気はない。松山が一人立っている。

松山 「あっ、黒澤くん、無事だったんだね。よかった…。」足音に気がつき振り返り微笑む。

辰箕 「覚悟は出来ているのだろうな。姿を現せ…」松山をグッと睨みつける。

松山 「…えっ?覚悟?姿?なっ何!?黒澤くん?」

辰箕 「…そうか、とぼけるか。いつまでとぼけていられるか、試そうか…。」

そう言って右手に妖気をため、少しずつ松山に近づく。後ずさりする松山。

松山 「ひゃぁっ!!」しりもちをつき、座り込む。

歩みを止めない辰箕。様子を見守る卯月と飛寅。松山の目の前まで来ると、しゃがみ込み松山の顔に妖気玉を近づける。

辰箕 「さあ、仲間は何人だ。アジトはどこにある…答えろ。」

(ドサッ)崩れ落ちるように倒れる松山。

辰箕 《気絶した…だと!?》妖気玉を消す。

卯月 「あら…あまりの恐怖に失神しちゃったのかしら。」

飛寅 「…おい、こいつ本当に猫族なのかよ。ただの人間なんじゃねぇのか?…ふつう敵の前で失神しねぇだろ。」

卯月 「演技かも知れないわ!」

飛寅 「チッ!どけっ!!」辰箕を押しのけ松山の襟を掴み引き上げる。

飛寅 「おいっ!てめぇっ!目ぇ開けねぇとブッ殺すぞ!!」と、怒鳴るが…反応のない松山。

飛寅 「…だめだ。マジで落ちてやがる…」襟元から手を放す。

辰箕 「…違うということか。」

卯月 「でも、だとしたらどうゆうこと!?あの妖力に耐えられるなんて!」

飛寅 「いるんだろ!中にはそーゆー奴も…。」

不服そうに黙り込む卯月。

飛寅 「ただの人間に興味はねぇ…俺は帰るぜ。」と言って帰っていく。

卯月 「そうね。私たちも帰りましょ、辰箕。」

辰箕 「…ああ。」倒れる松山を眺める。


日は落ち暗くなった校庭。ベンチに横たわる松山。

松山 「…ん?…あれ?…私、どうして…。」体をおこす。

辰箕 「…悪かった。具合はどうだ?」ベンチから少し離れたところで壁にもたれ座っている。

松山 「黒澤くん…。平気よ、もう大丈夫。…ずっといてくれたの?」

辰箕 「よかった…何ともないのならいいんだ。」立ち上がり帰っていく。

松山 「あっ待って!!」とベンチから立ち上がる。

松山 「黒澤くんって…妖怪なの?」
スポンサーサイト

十二支 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<鳥よ | ホーム | 第4話 「親睦会作戦」>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。