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月下美人

詩や小説を書いています。

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第4話 「親睦会作戦」

風呂上がりの駒村はビール片手に独り悩んでいた。

駒村 「う~ん…困ったなぁ…。黒澤くんに話しかける人が、今日一日でたった一人。氷上くんだけって…全然馴染めてないわ。やっぱり怖いってイメージがあるのね…何かトラブルもあったっぽいし。でも、怖いってイメージを払拭しない限りは誰も寄り付かないわよね。」

独り言を言いながらうんうん唸っていた。

駒村 「あっ!そうだ!一緒に楽しい時間を過ごせば変わるかも知れない!」と顔をほころばせる。


翌日、2‐Cの教室。ウキウキした表情の駒村が教卓に手をついている。

駒村 「みんなー!!今日のHRは外でドッヂボールよー!いい汗流そー!」と拳をつきあげた。

静まり返る教室。冷ややかな視線を送る生徒たち。

駒村 「…あ、あれぇ!?みんなー…ちゃんとついてきてよ?独りじゃ先生寂しいよぉ!?」
と気まずそうに上げた拳を下す。

ソバージュの女生徒 「知らねぇよ…。」と呆れながらつぶやく。

三つ編みの女生徒 「だいたい何で、急にドッヂなのよ…。」

ソバージュの女生徒 「どうせ、コマちゃんのことだし『親睦会』とか考えたんじゃねーの。」

三つ編みの女生徒 「えぇー…?それってあの黒澤くんと仲良くなれってこと!?」

ソバージュの女生徒 「そーゆうことでしょ…。」

三つ編みの女生徒 「嫌だよ!ムリムリ!何勝手なことしてくれてんのって感じー!」顔を左右に振り拒絶する。

駒村 「はーい!みんな動いてチーム決めちゃってよ!?」誰も動こうとしない…

駒村 「あれぇ!?早く決めないと時間がなくなっちゃうぞー!」パンッパンッと手を鳴らす。

しぶしぶノロノロと動き始める生徒たち。

ソバージュの女生徒 「とにかくさ、黒澤と同じチームにならなければいいじゃん。さっさと決めちゃおうよ。」

ととにかく面倒くさそうな態度をしている。

三つ編みの女生徒 「そ、そうだよね。」といい立ち上がろうとする。

三つ編みの女生徒 「…あれ?でも待って…そうなると黒澤くんにボールぶつけたり、ぶつけられたりするのよね…」

ソバージュの女生徒 「あっ…そっか。」と顔を見合わせるふたり。

三つ編みの女生徒 「もーやだぁーーー!!どうしたらいいのよーー!!」と頭を抱え机にふせる。

駒村は心配そうに黒澤(辰箕)の様子をみている。《ん~…黒澤くんに誰も声かけようとしないな…》そんなことを考えていると教室の扉が開く。(ガララッ…)卯月が立っている。

駒村 「あら?どなた?」

卯月 「すみません、遅刻してしまいました。」

ざわつく生徒たち。
「あれ昨日の子じゃね?」
「うそ、うちのクラスだったの?」
「いや、居たら気づくだろふつう。」
と話している。

駒村 「えっ…えっと、クラス間違えたのかな?」

卯月 「いいえ、2‐Cで間違いありません。笹原しょうびです。駒村先生。」と笑みを浮かべる。

卯月の登場で、辰箕の表情がこわばる。

駒村 「えっでも、うちのクラスにそんな名前の生徒は……あっ、笹原…いるわ。…でも、『笹原しょうこ」になってる。」

卯月 「ああ、それは間違いです。『しょうび』って珍しい名前だから、よく間違われるんです。」と笑っている。
《けっこう無理矢理だな…》戌維は苦笑いでみていた。

男子生徒たちが騒ぎだす、

「笹原ってあんな子だったのかよ。」「一度も来たことねぇから初めてみたよ。」
「おれ、あの子とチーム組も!」と一人が言うと「おれも」「おれも」と卯月の周りに男子が集まってくる。

卯月 「ごめんなさい…お誘いは嬉しいけど、今日は激しい運動は避けたいの。いいですか?先生。」と駒村をみつめる。

駒村 「ええ、いいわよ。」

残念そうに卯月の前から散っていく生徒たち。ざわざわと動きはじめる。

戌維 「…黒澤、組まないか?」と戌維が辰箕に声をかける。

辰箕 「あ、ああ。」落ち着かない様子の辰箕。

戌維 「ずっと監視されているのは気が休まらないか?大丈夫、卯月は約束を守る人だ。急に襲って来たりはしないよ。」

辰箕 「…そうだな。」

辰箕と戌維が話す姿を見て、少し安心した表情の駒村。がやがやと動き回る生徒たちの中、まだ席についている二人。

ソバージュの女生徒 「…で、うちらどーすんの?」と机にふせ、頭を抱える三つ編みの女生徒をみる。

三つ編みの女生徒 「氷上くんと同じチームになる!!悩んでたってしょうがないもんっ!行くよ、取られる前に!!」

と勢いよく椅子から立ち上がり、戌維たちの方へむかう。

三つ編みの女生徒 「氷上く…」と戌維を見つけ声をかけるが、動きがとまる。隣に辰箕の姿を見つけてしまったのだ。

ソバージュの女生徒 「世話好きだから…」と冷めきった表情でいう。

三つ編みの女生徒 「世話好きのバカヤロー…」とつぶやく。

駒村 「あっ!ひとつ言い忘れてた!優勝チームにはなんと~…」とひっぱる。

ソバージュの女生徒 「なんだよ…無駄にひっぱるなぁ…」

三つ編みの女生徒 「どーせジュースとかでしょ。何ハードル上げてんだか…」と期待のみじんもない。

駒村 「一週間の掃除当番免除!!どうだっ!!」と教卓に手をつき身を乗り出す。

静まり返る教室。

「よっしゃぁーーー!やる気出てきたぁーーー!!」「コマちゃんサイコー!!」「ドッヂ強いやつ集まれー」

いっきに盛り上がる生徒たち。盛り上がる生徒たちをみて駒村は思った。《どんだけ掃除嫌いなんだよ…》

戌維 「掃除当番免除はいいな…少し本気を出すか。ちょうど時間が欲しいと思っていたところだ。」

そう言った戌維は不敵な笑みを浮かべる。


校庭に2‐Cの生徒と駒村。戌維は辰箕にドッヂのルールを説明している。

駒村 「はーい!じゃあ始めるよー!!」満面の笑みではりきっている。

三つ編みの女生徒 「はぁ~…なんであんなにテンション高いわけ!?」

ソバージュの女生徒 「いい事してると思ってんだろ。」

三つ編みの女生徒 「結局、黒澤くんと同じチームだし…救いは氷上くんがいるってことね。」

戌維 「…と、まあルールはこんな感じかな。」

駒村 「はい。じゃあ始めは黒澤くんからね。」とウキウキの笑顔でボールを辰箕に手渡す。

辰箕がボールを受け取ると、相手側の生徒たちが我先にと後ろへ下がっていく。

戌維 「なるべく、そーっとだぞ…」と辰箕に小声で助言。

辰箕はうなづきボールを投げる。投げたボールは、相手側のコートにヒョロヒョロと飛んでいき、誰にも当たることなく地面に落ちた。目を疑う一同…。

戌維《そうきたか…》

駒村 「あ、あははは…黒澤くんったらふざけちゃって!!本気でやっていいんだよ!?」

敵側の生徒がボールを拾い、

「よし、じゃあ今度はこっちの番だ!」といいボールをかまえる。

後ろに下がる生徒たちのなか、堂々と立ち尽くす辰箕。ボールを持った生徒は威圧感に戸惑う。

臆病そうな女生徒 「く、黒澤くん…もう少し下がった方が…危ないよ!?」

辰箕 「そうか、わかった…」といい女生徒の隣までさがる。

「くらえ」とボールが投げ込まれる。ボールは臆病そうな女生徒めがけ飛んでくる。「ヒッ」と手で顔をかばう。誰もが当たると思ってみていたが、辰箕が女生徒の前に入りボールを受け止める。

臆病そうな女生徒 「あ、ありがとう。黒澤くん…」

加減がわからない辰箕にかわって戌維がボールを投げる。投げ返されたボールを辰箕が受け止める。二人の見事な連携プレーで次々とコート外に出されていく。その様子を少し離れたところから卯月と飛寅がみている。

飛寅 「はぁーあ…くだらねぇ。球投げ合って何が面白ぇんだか…。」

卯月 「拳ぶつけあってるよりはマシだけど。」

飛寅 「てめぇ、いちいち腹立つ奴だな…」卯月を睨みつける。

卯月 「あら、それはお互い様でしょ!?」

飛寅 「ところで、てめぇだけあいつと同じクラスになりやがって。おかしいだろ…」
不満そうな表情を浮かべる。

卯月 「仕方ないでしょ、空きの問題もあるんだから。入れるようにしてもらっただけでも感謝して欲しいものね。私はあなたがここに居ようが、居まいがどちらでも構わないのだから。あと、勝手な行動も許さないから。」

飛寅 「チッ、わーってるよ。…で、なんでてめぇは、あれやらねーんだよ。」とドッヂをする方を顎でさす。

卯月 「そんなの決まってるでしょ。…くだらないからよ。」と冷めきった目でドッヂをみる。

(ピーーーッ)笛が鳴る。

駒村 「はい、そこまでー!優勝チームは黒澤くんのチームね!」

戌維 「やったな!」辰箕とハイタッチした。それを見た他の生徒たちが辰箕の周りに集まってくる。

「すげーよ!最強コンビじゃん!」「強すぎ!!」
《…よかった。少しは馴染めたかな…》ホッとした表情で見守る駒村。

(終業のチャイムが鳴る)

駒村 「はい。今日はここまで!みんなまた明日ね!」

ざわざわと帰り支度をする生徒たち。猛ダッシュで支度をすませ走って教室を出ていく戌維。辰箕は不思議そうにみていた。

卯月 「黒澤くん、一緒に帰りましょ!」

辰箕 「卯…笹原…どうして…」と少し身構える。

卯月 「戌維に頼まれたの。今日は一緒に帰れないから頼むってね。監視のはずが、護衛として利用されてるみたいでムカつくけどしかたないわね。まだ死なれたら困るし。」

辰箕 「…ありがとう。」

卯月 「やめてよ。別に仲間になったわけでも、親切でやってるわけでもないんだから。自分のためよ…」


校庭を歩く辰箕と卯月を臆病そうな女生徒が見ている。
臆病そうな女生徒《黒澤くんと笹原さん、もう仲良くなったんだ…》
校門に一人の女性が立っている。顎までの黒髪を前でわけ、紅く艶やかな唇、紫の瞳はこちらを見ている。耳にはワインレッドのダイヤ型ピアス、首には紫のチョーカー、水着のような露出の高い服を着ている。

セクシーな女性 「やっと…見つけた。こんなところにいたとはね。」

辰箕 「…またか。」女性の言葉ですぐに刺客だと悟った。

卯月 「いろいろと大変ねぇ…」冷静に女性をながめながら言う。

セクシーな女性 「彼の苦しみ、恨みを、思い知りなさい!!」そう叫んだ女性の目からは涙が溢れ出す。

次の瞬間女性の体を刺々しい紫の妖気が包みこむ。女性の右手が青い大蛇に、左手は赤い大蛇になる。解き放たれた強い妖気に耐え切れず失神していく生徒たち。

辰箕 《な、なに!?力を解放した!?》

卯月 「やめなさいっ!!」と叫ぶが、女性には届かず。

セクシーな女性 「いくわよ…」

腕から生えた大蛇を自在に操り辰箕に襲いかかる。ギリギリでかわし続ける辰箕。

セクシーな女性 「バカにしてるの!?解放しなさいよ!!」攻撃スピードをあげる。

「な、なんなの?これって…夢?」卯月の後ろで声がした。

声に驚いた卯月は慌てて振り向く。そこには、体を震わす辰箕の隣の席の、臆病な女生徒が座り込んでいた。

臆病な女生徒 「どっどうしよう…足に力が入らない…」

卯月 《…嘘でしょ。この妖気をうけて意識を保っていられる人間がいるわけが…何者なのこの子…》


その頃、戌維は魔界で対談していた。

「そうですか。お話はわかりました。戌維様が直々にいらっしゃるとは思いませんでした。深刻なようですね。」

戌維 「…はい。」

「いいですよ。協力いたしましょう。」

戌維 「ありがとうございます。」
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