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月下美人

詩や小説を書いています。

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第1話 「反乱」

魔界、様々な妖怪が住む場所。この魔界には、最強と呼ばれる12の種族がある。族のリーダー達は「十二支」と呼ばれ、魔界の掟を定めている。現在の十二族は、子族・丑族・寅族・卯族・辰族・巳族・午族・未族・申族・酉族・戌族・亥族である。
族のリーダーにはそれぞれリーダーの証として名が与えられる。
子族/海子(ねずみぞく/うみね)。丑族/丑乙(うしぞく/うしお)。寅族/飛寅(とらぞく/ひとら)。卯族/卯月(うさぎぞく/うづき)。辰族/辰箕(たつぞく/たつみ)。巳族/巳琴(へびぞく/みこと)。午族/都午(うまぞく/とうま)。未族/未々(ひつじぞく/みみ)。申族/申(さるぞく/しん)。酉族/射酉(とりぞく/いとり)。戌族/戌維(いぬぞく/いぬい)。亥族/希亥(いのししぞく/けい)。
十数年前までは、辰族ではなく猫族(ねこぞく)が十二支だった。辰族は猫族の奴隷で、毎日が地獄のような生活を送っていた。


地下深くに造られた猫族の住処。鳴り響く鞭を打つ音、苦痛に叫ぶ者の声。人目を避けるように暗がりの隅に2人、何かを話している。尖った耳に2本の角、ダークグリーンの髪に、金色の瞳、辰族の男である。もう一人は淡いブルーの髪が肩まで伸びた、グレーの瞳の辰族の女だ。女は優しげな眼差しで男を見つめている。

女「龍牙、ついにこの生活も終わるのね。」

龍牙「ああ、今夜猫爪(びょうそう)を殺す。」

女「…気をつけて、龍牙を失うのは嫌だからね。絶対嫌だから…」

龍牙「ああ、わかってる。必ずやり遂げて無事に戻る。約束だ…千歳。」

千歳「ここを出たらあなたがリーダー『辰箕』よ」そう言って優しく龍牙を抱きしめる。

龍牙「…千歳。必ず…必ず成功させる。待っていてくれ。」

千歳「うん。」今この時を噛みしめるようにしばらく二人は抱き合っていた。

千歳「それじゃあ、私仕事に戻らなきゃ。」

龍牙「ああ。」


龍牙の職場は、酒蔵に酒を運び入れる事。

猫族の男「ほら、さっさと動け!!」ビシッと鞭を鳴らす。
今にも倒れそうな辰族の男、ふらふらと酒瓶の入った箱を運んでいる。

猫族の男「さっさとしろっ!!」(ビシッ)と鞭を打った。
(ガシャンッ!!)酒瓶は床に落ち、瓶は割れ、酒がこぼれ出した。
その音に龍牙は振り返った。

猫族の男「てっめぇ!猫爪様のワインだぞ!!どう責任取るつもりだ!!」
(ビシッ!ベシッ!!ビシィッ!!!)力いっぱい鞭を打つ。

猫族の男「たくっ、気をつけやがれ!!」
何度も何度も鞭を打たれた男の背中は、服が破れ、肉が削げ、血が流れ真っ赤だった。

辰族の男「す、すみません…」絞り出すような声で言った。
龍牙は怒りを押し殺し、その様子を黙って見ていた。龍牙の視線に気づいた男。

猫族の男「…あ?何だよその目は。」

龍牙「…いえ。」何もできない自分に腹を立てながら目を逸らした。

二人の猫族の男が仕事をさぼり何かを話している。龍牙が横を通り過ぎようとしたとき、

男A「なぁ、あの千歳って子結構続いてるよな。」

男B「ああ、美人だからな。」

男A「俺らにもまわしてくんねーかなー」

男B「ムリだムリ!猫爪様は遊ぶだけ遊んだら始末しちまうんだ。まわって来た時には、冷てぇお人形になってるよ!」

(ガシャンッ!)龍牙は持っていた酒瓶の入った箱を床に落とした。

猫族の男「ああっ!!てめぇもかよ!!あ~あ~~…」割れた酒瓶を確認する。

龍牙「…何をした。」

猫族の男「ああ?何か言ったか?」

龍牙「おまえじゃない。そこの二人に聞いてんだ。千歳に何をしたんだ。」

男B「何だ?おまえの女か?それはおめでとう!好きな女が猫爪様に今大事にされてるぜ!?」

男A「あはははっ!!」

プチッ…龍牙の頭の中で何かが切れる音がした。それと同時に、体は動いていた。
鞭持つ男の腰の剣を奪い、声を出す間も与えず斬りつけた。それに気づいた二人の男たちも剣に手を添えるが、抜く間もなく斬り捨てられ血しぶきがあがった。

龍牙「計画変更だ。今すぐ殺す…一人残らず。」

走り出した龍牙…立ちはだかるものを次々と斬り倒した。猫爪の部屋の前までたどり着いたとき、龍牙の服は血を浴び赤く染まっていた。


紅い屋根に紅いカーテンの大きなベッドに横たわる男。尖った耳、研ぎ澄まされた鋭い爪、つりあがった細い目、パーマのかかったロングヘアー…猫爪である。(ゴン…)何かが扉にぶつかる音。不信感を持ち扉に向かう…

猫爪「何の音だ、何をしている。」(ガチャッ…)扉を開ける。(ドスッ…)胸に突き刺さる剣、

猫爪「な…に…!?ぐはっ…き、貴様っ…」猫爪はその場に倒れこんだ。

血にまみれ息をきらす龍牙。部屋に入ると無駄に大きな赤いベッドがあった。ベッドの向うに誰かいる。駆けよった龍牙が目にしたのは、屍となった千歳だった。服は裂かれ白い肌が露わになり、2本あった角も1本折れ、首は切り裂かれドクドクと血が流れでていた。

龍牙「ち…とせ…」龍牙は膝から崩れ落ちた。

冷たくなった千歳を抱き寄せると、千歳の目から涙がこぼれ落ちた。

龍牙「間に合わなかった…ごめん、千歳…ごめんな…」涙をこぼし震える手でいつまでも強く抱きしめていた。
龍牙の背後に忍び寄る影(ギシッ)床がきしんだ。その音に気づき慌てて振り返る龍牙。
(ブシュッ!!)血しぶきが上がる。床に滴る血、龍牙は左目を斬りつけられた。

猫族の男「死ねぇーーー!!」剣を大きく振りかぶった。龍牙はとっさに足をすくい相手の態勢を崩した。態勢を崩し、倒れこんだ相手の心臓を持っていた剣で一突き。

猫族の男「ぐはっ」瞬殺だった。

龍牙「…千歳。…もう行くよ。…愛している、いつも…いつまでも。」
横たわる千歳にそう言い、額にそっとくちづけした。


この後、龍牙は辰族のリーダー辰箕となり、力をつけていった辰族は十二支となった。しかし、猫族は滅んでなどいなかった。復讐のため期をうかがっていたのだ。変化を得意とする猫族は、辰箕(龍牙)を陥れるために辰箕の姿で、盗み・虐殺を繰り返した。辰箕は自分に成りすましている犯人を見つけるべく探し回っていた。
ある日、子族の長・海子を訪ねたとき偶然犯人と遭遇する。正体がバレた犯人の男は自害。

辰箕「くそっ…また振り出しか…」

海子「今までの悪行、本当に辰箕様ではないようですね。」

辰箕「ああ。」

海子「『ふりだし』と言いましたが、そうではないかも知れませんよ。」

辰箕「…!?」


海子「人間のにおいがしたわ。それもかなり。猫族のアジトは人間界にあるのではないかしら。」

辰箕「…人間界。ありがとう、行ってみる。」

海子「一人では危険です。私たちも協力いたします、何名かうちの者をお連れ下さい。」

辰箕「いや、大丈夫だ。人数が増えれば目立つ。それに、今の俺に手を貸せば子族も危険にさらされる。」


そう言い残し単身人間界へ向かった。
《…待っていろ。必ず見つけ出し、一人残らず叩き出してやる。》辰箕は心に誓うのだった。
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十二支 | コメント:1 | トラックバック:0 |
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コメント

訪問者リストから伺いました楓良新(かえで りょうしん)と言います。
触りだけ読ませていただきました。
妖怪とか十二支の話みたいですね。古典的でいいなあって思います。

私のは学園ものです。映画や漫画が好きなので、そういったイメージで書いています。話も長く、キャラも多いので、読む前にキャラとかの紹介を読む事をお勧めします。

私は私的な事も結構言いますので、鍵コメにする場合もあります。鍵コメにすると返信がない事がたまにあるので、鍵コメOKかを最初に確認するようにしてます。鍵コメにすると返信する時は公開にしなきゃいけないので、気を使うのも理解できます。今回は挨拶と言う事で、公開コメにさせていただきます。
2013-12-15 Sun 17:23 | URL | 楓良新 [ 編集 ]

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