月下美人

詩や小説を書いています。

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第6話 「禁断の恋物語」

暗く静まり返った校庭に二人。

松山「もしかして、笹原さんやさっきの金髪の人も…妖怪?」

辰箕「…妖怪なんか、いると思ってるのか?」

松山「…さっきまでは、信じてなかった。でも、今はホントにいたんだって驚いてる」

辰箕「まるで昔から妖怪の存在を知っていたかのような口ぶりだな」

松山「知ってたっていうか…。きかされてたの」

辰箕「…きかされる?誰にだ…?」

松山「母によ。私が小さい時に死んじゃったけど、よくお話を聞かせてくれたの。人間の女性と、妖怪の男性の、恋の物語よ。私そのお話が大好きだった」

辰箕《…ただの作り話か》

松山「一人の若い女性がいつものように仕事帰りに夕食を買い、家路を急いでいたの。すると彼女の家の前に、一人の若い男性がぐったりとうつむいて座ってる。彼女は男性に駆け寄り肩に手を添え、声をかけるの。その声に気づき男性はゆっくりと頭を上げる。頭を上げた男性の額には一本の角が生えていた。女性は驚いて肩に添えていた手を離すの、するとその男性は力尽きて倒れてしまう。放っておけなくなった女性は自分の家につれて入り布団に寝かせてあげて…」

辰箕「ちょっと待て、物語を聞くつもりはない」と話をさえぎる。

松山「あっ…ご、ごめんなさい。そうだよね。あ、あのね。黒澤くんが例え妖怪でも私は誰にも言わないから」

辰箕「…恐くないのか?」

松山「…恐くないよ。今の黒澤くんは恐くない。母も言ってた…妖怪は恐いものって言われてるけど、温かくて優しい妖怪もいるって」

辰箕「…かわってるな」

松山「そうなのかなぁ…?人間と同じで、恐い人もいれば、優しい人もいる。そうでしょ!?」

辰箕「…ああ、そうだな」

松山「ところで、黒澤くんは誰か探してるの?さっき私を誰かと間違えていたみたいだったから」

辰箕「…関わらない方がいい」そう言い帰って行く。

松山「あっ…」


翌朝、学校の屋上に集まる5人。昨日の松山とのやりとりを話す辰箕。

戌維「そうか。妖怪だということが、バレてしまったか」

卯月「しっかりしてよね。あの子が誰かに言ったらどうするつもり!?何とか誤魔化せなかったわけ!?」

巳琴「まあ、バレたならしかたない。始末しちゃう?」

卯月「なんでよ!!するわけないでしょ!?やるならあなた一人でして!私は関わりませんから!」

巳琴「もー!冗談よ!するわけないでしょ!?私だってまだ死にたくないわよ」

戌維「それより、その話何か引っかかるな…」

辰箕「…どういうことだ?」

飛寅「俺は当たり前のように、話に交じってる巳琴にびっくりだけどな…」

巳琴「やんっ!気づいちゃった?気配消してたのにやるわね…さっすが!!」

飛寅「どーでもいいけど、なんでそんなテンション高ぇんだよ…つい昨日まで恨みで怒り狂ってたくせに」

巳琴「あー…あれ!?もちろん今でも恨みは変わってないわ。でも、あれから冷静になって考えたのよ。辰箕じゃないかも
知れないんでしょ?だったら、誰なのかハッキリするまで怒りは取っておこうと思ってね。ずっと恨みで沈んでても自分が苦しいだけだもの」

卯月「決意表明はすんだ!?飛寅も納得した?次いっていいかしら…」

巳琴「かっこよく決まったことだし、オッケー!話進めちゃって!!」

卯月「そう。じゃあ戌維、引っかかるって何?別におかしなことなんてないように聞こえたけど?」

巳琴「おかしいって言ったら…あれじゃない!?何で卯月たちが見張るのやめて先に帰ったか!」

卯月「…うるさいっ!あなたは黙って!!」《解毒薬が切れたから作らなきゃってことで頭がいっぱいになったのよ…》

飛寅「あの女が目覚めるまでなんか待ってられっか!それに卯月がいると思ったし」

卯月「も、もういいでしょ!!戌維、話を進めて!」

戌維「あ、ああ。俺がおかしいと思ったのは、その母親の話だよ。ただの作り話なら、優しい妖怪もいるって子供に教えるか?まるで、会ったことがあるかのようだとは思わないか?」

卯月「…確かに、言われてみればそうね」

戌維「これは推測だが、その物語は実際に彼女の母親が体験したことなんじゃないかな?」

飛寅「…まぁ、絶対ありえねぇって話でもねぇが…。母親が過去に誰と恋しようがどーでもいいだろ」

巳琴「う~ん…確かにねぇ。しかも、もう死んでんだし!?」

戌維「…まあ、確かに猫族との関連は薄いだろうけど、少し気になったからな」

卯月「…半妖の問題ね」

辰箕「半妖…!?」

戌維「ああ、その可能性が無くもないだろ?」

飛寅「誰かが、ルールを破ったってのか?」

巳琴「そんな、危険すぎるわ!何が起こるかわからないのよ?いくらなんでもそれは無いんじゃない!?」

辰箕「…いや。半妖だと考えれば、巳琴の妖力に耐えられたことも説明がつく」

卯月「…そうね」

戌維「その物語の続きが知りたいな」

(チャイムが鳴る)

飛寅「チッ!授業が始まるってよ。やっかいな場所だぜ…」

戌維「急いで教室に戻ろう。次の休み時間にでも、俺たちで松山さんに聞いて二人には報告する」

巳琴「わかったわ。じゃ、またね~!」


2‐Cの教室、教壇に立つ駒村。またもウキウキした様子。

駒村「みんなー!なんとまたまた転校生だよ!?」

ソバージュの女生徒「多くねぇ?」

三つ編みの女生徒「人気ねぇ~…この学校。今度こそまともなのにしてよ!?」

駒村「はい。入ってきて~!」

辰箕《まさか、巳琴?まさかな…》扉をじっと見つめる。

扉が開き入ってきたのは、淡いブルーの髪を肩まで伸ばし、頭にはブルーのリボン、耳にはブルーのピアス、青く透きとおった瞳、優しげな顔立ちの女生徒。
(ガタッ!!)椅子から立ち上がる辰箕。その音で皆が振り返る。転校生を見つめ辰箕は固まっている。

駒村「…黒澤くん?どうしたの?」心配そうに尋ねる。

《どうしたんだ?》不思議そうに辰箕を見つめる戌維。

辰箕「…ち、ちとせ…?」

辰箕の手はひどく震えていた。松山は青ざめる辰箕を心配そうに見ている。

松山「黒澤くん…大丈夫?」

青い髪の女生徒は辰箕と目が合うと、ふっ…と優しく微笑んだ。

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