月下美人

詩や小説を書いています。

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第5話 「死の手紙」 #8

シオンが消えて数日が経った深夜。ルーキーズはロビーに集まりシオン救出の作戦をたてていた。

ジュリアナ 「そろそろ、少し休憩しましょ。」

エリーゼ 「そうね、何か作って来るわ。」

サヤカ 「やったぁー!エリーゼの手料理食べれんの!?」

ミツキ 「あっ、俺も手伝うよ。」

席を立つもの、その場で背伸びするもの、それぞれ休憩する。

チャールズ 「フローラ、自販機に行くが何かいるか?」

フローラ 「じゃあ、ブラックコーヒーお願い。」

チャールズ 「わかった。」

チャールズは一階の食堂へ行く。自販機の前に立ちコーヒーを買い、自分の飲み物を選んでいる。

「私を探すのはもうやめたみたいね。」

自販機の影から姿を現したのは、行方をくらましたマリアだった。

チャールズ 「おまえは…マリアか?なぜ、ここに…ここは魔道士以外入れないはずだ。」

マリア 「そうね。でも、方法はいくらでもあるのよ。」

チャールズは動揺する心を落ち着かせ、距離をとろうと少しずつ後ろへ下がる。

チャールズ 「何をしに来た。」

マリア 「あなたに用があったのよ。」

チャールズ 「…俺に?」

マリア 「あなたは優秀な魔道士でしょ。あなたの力が必要なの。」

チャールズ 「…どういうことだ?俺を勧誘しているのか?」

マリア 「いいえ、違うわ。あなたの同意なんて必要ない。だって…」

そう言ったマリアは距離を一気につめ、チャールズの腹を殴る。チャールズは反撃する間もなく、気を失い床に倒れ込む。

マリア 「こうして、無理矢理連れて行くもの…」

マリアは気を失うチャールズを見下ろし微笑み、チャールズを抱え闇に消えていく。

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第5話 「死の手紙」 #7

皆ロビーで立ち止まる。異様な様子にショウは戸惑いながら様子を見ている。

フローラ 「…で、オリーブ。モンタージュは出来たの?」

オリーブ 「うん、こいつよ。」

皆に見えるように胸の前に出す。

チャールズ 「さすがオリーブだな。これで犯人の顔と、シオンの部屋に残されていた手紙から名前は“ルーク”と言うことが分かった。後はアジトだが…」

オリーブ 「ふふっ♪絵には自信あるのよね!」

ショウ 「ちょ、ちょっと待ってくれよ!何考えてんだ?仇討ちでもするつもりか!?」

ジュリアナ 「仇討ちね…なんかダッサイ響きだけど、そうなるのかしらね。」

ジュリア 「このまま黙ってなんかいられるか!課長が私らに捜査させてくれないなら、勝手にやらせてもらう。」

ショウ 「まずいって…課長は感情的にならないために捜査から外したんだぞ?別に嫌がらせで捜査させないんじゃない。」

ジュリア 「わかってるよ!でも、大人しくなんかしてられないんだよ!仲間が殺されたんだぞ!?」

オリーブ 「そうよ。それに、身内の方が必死になって案外いいことだってあると思うわ。」

ジュリアナ 「あんたは別に帰っていいわよ?つき合う義理はないでしょ。別に思い入れもないだろうし。なんたって危険だからね。」

ショウは少し俯き考える。その間も話は進んでいく。マリーはまたアジトをつきとめようとしている。

ショウ 「俺も…俺も協力させてくれ。犯人、俺たちで捕まえよう。」

ミツキ 「ショウ…いいのか?命令違反でどうなるか分からないんだぞ?」

ショウ 「覚悟の内さ!でも、ルーキーズはいつも勝手なことしてもここにいる。ジュリアナが何とかしてくれんだろ?」

ジュリアナ 「まあね、仲間には甘いタイプなの。」

ショウ 「だったら大丈夫そうだな!」

フローラ 「“仲間には”よ?そこ気をつけて聞きなさいよ?」

ショウ 「…ん?俺ってまさか…」

ジュリアナ 「まぁ、仲間とは言えないわね。」

ショウ 「マジで!?」

その日、寮のロビーで、作戦会議は深夜まで行われた。

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第5話 「死の手紙」 #6

少し落ち着きを取り戻したオリーブは、ロビーにルーキーズ全員を集め、先ほどあった出来事を皆に話した。その後、皆でシオンを探したが見つかったのは裏庭に残された大量の血液だけだった。

ミツキ 「シオンは何処に…」

ジュリアナ 「…どうやら、この血痕…シオンのもので間違いないらしいわよ。」

マリー 「どうして…どうしていつもシオンばかりが危険な目に遭うの?」

フローラ 「まぁ、普段の行いが悪いからでしょうね。」

エリーゼ 「この出血量だと…」

フローラ 「おそらくって言うより、確実に死んでるでしょ。なんたって心臓抜かれてんだから。生きてたら研究材料にさせて欲しいわよ。」

エリーゼ 「やめてよ。今はふざけないで!」

ミツキ 「一体誰が…」

フローラ 「今オリーブが、男のモンタージュを描いてるから顔はわかるでしょうね。」

ジュディ 「やっと大きな組織がなくなって、少し落ち着いたと思ってたのに…。」

ジュリアナ 「えげつないことするのね…心臓抜き取るなんて、正気だとは思えないわ…。」

ジュリア 「…酷過ぎんだろ。絶対ゆるさねぇ…。」

翌日、シオンの死が課長に伝えられ、2班に新しいメンバーが加入することになる。

課長 「じゃあ、紹介するわね。ショウ・グロスマンよ。」

オレンジの髪に、ブラウンの瞳。黒のタンクトップに緑の上着をはおり、青いジーンズをはいている。

ショウ 「よろしく。ルーキーズのみんなと仕事出来る事になって嬉しいよ。姉貴からいつも話は聞いてたからさ。」

ミツキ 「…姉貴?そういえばグロスマンって…」

ショウ 「そう、ミライ・グロスマンは俺の姉貴だよ。」

オリーブ 「そっかぁ、よろしくオリーブよ!」

課長 「じゃあ、それぞれの仕事にとりかかってちょうだい。」

シオンの事件の捜査は身内だという理由でルーキーズは全員外された。いつもは仕事中も騒がしいルーキーズだが、誰一人話すことなく黙々と仕事をしている。異様な雰囲気に課長が心配の眼差しを向けている。沈黙の中終業のベルが鳴る。ぞろぞろと部屋を後にするルーキーズ。


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第5話 「死の手紙」 #5

ルークはオリーブの部屋に向かう。オリーブの部屋の扉をノックする。

オリーブ 「…はーい♪今開けまーす!」

扉を開けたオリーブの目に飛び込んで来たのは血だらけの男。

オリーブ 「なっ何なの!?誰?」

異常な光景に怯えるオリーブ。

ルーク 「君がオリーブだよね。」

オリーブ 「…そ、そうだけど…」

ルーク 「シオンからの伝言を伝えに来たんだ。『今までありがとう』だって。それから、これは君が持っていた方がシオンも喜ぶだろうから…はい。」

そう言ってオリーブの手の上に乗せられたのは、まだドクドクと動いているシオンの心臓だった。

オリーブ 「きゃあーーーー!!」

腰を抜かすオリーブ。

ルーク 「それじゃ、ボクは帰るね。」

そう言ってルークは去って行った。腰を抜かし座り込んでいたオリーブは震える足で走り出す。協会の医務室の扉を勢いよく開ける。そこには、一人の女性がいた。茶色の肩まである少しウェーブのかかった髪、グリーンの瞳。名はミライ・グロスマン。21歳。ミライは一つ上の先輩で、オリーブと親しい仲だった。オリーブが医療の知識を学ぼうとした時に世話になったのだ。

ミライ 「あら?オリーブ、どうかしたの…えっ!?何それ…」

オリーブ 「ミライさんお願いこの心臓をこのまま保存しておいて!!」

ミライ 「これ…わかったわ。やってみるわ。」

ミライは何も聞かずオリーブの言う通りに保管して、血だらけのオリーブの手をタオルで優しく拭く。

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第5話 「死の手紙」 #4

その頃、シオンのもとに手紙が届いていた。差出人はルーク。内容は一言『裏庭に来てほしい』と書かれている。不審に思いながらもシオンは裏庭に向かうのだった。そこには、ブロンドの髪に、ブルーの瞳、透きとおるような白い肌の男が木の陰に立っていた。

シオン 「お前がルークか?」

ルーク 「そうだよ。僕のこと忘れちゃった?」

シオン 「…どこかで…。」

ルーク 「いいさ。君にはボクなんて通過点に過ぎなかったんだから。」

シオン 「…どうゆうことだ?」

ルーク 「昔、ボクらは剣術の稽古をしたんだよ。」

シオン 「…ああ!あの弱かったルークか!お前魔道士になったのか!?ちょっとは強くなったのか?」

ルーク 「ふふっ…本当におめでたい頭をしてるんだね、君は。」

シオン 「はあ?どういう意味だよ。ケンカ売ってんのか?」

不機嫌になるシオン。

ルーク 「ボクは弱かったんじゃない。負けてあげていたんだよ。君の父親が君に自信を付けさせるためにね。ボクが勝とうとした日にはひどいお仕置きがあった。君はあの時も気づいてくれなかった…ボクは君に助けて欲しかったのに…。でも、いいんだ。今日で君を恨むのはやめるよ。」

シオン 「………」

ルーク 「ボクへの仕打ちを反省して…死んで。」

シオン 「…はぁ?何言ってんだお前…頭おかしいん…じゃ…」

シオンはルークの言動に言い返そうとしたが、その言葉は途中で遮られる。さっきまで2メートルは離れていたはずのルークが目の前にいて、力が抜けていくような体の異変を感じたと思った時、自分の体がルークの手に貫かれていることに気づく。シオンは吐血する。シオンの血を全身に浴びたルークは不気味に微笑んでいる。

ルーク 「ボクね、今君の心臓を掴んでるよ。このまま、手を引き抜いたらどうなるだろうね。」

シオン 「や…やめろ…」

ルーク 「ボクも悪魔じゃない。最後に何か誰かに伝えたいこととかある?ボクが伝えてあげるよ。」

霞む視界、薄れゆく意識、死を覚悟したシオンの頭にあったのはオリーブの事だった。

シオン 「オ…オリーブに…今までありがとう…って伝えてくれ…」

ルーク 「わかったよ。オリーブだね。必ず伝えるよ。さよならシオン…」

そう言ったルークは手を勢いよく引き抜いた。シオンはその場に倒れ込む。


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